私立医学部の学費は高額で、払えないと諦める方もいるでしょう。私立医学部への進学によって、家庭崩壊した、という事例もあるほどです。しかし、高額な学費の負担を減らす方法もあります。
この記事では、私立医学部の学費が払えないと悩む方向けに、詳細な学費から対策、対処法まで詳しく解説します。学費の不安を解消して医学部を卒業し、医者への未来を実現しましょう。
私立医学部の学費は高くて払えない?
私立医学部は、ほかの学部と比較して学費がかなり高額です。一般的なサラリーマン家庭では、合格しても払えないと、最初から希望校の受験を諦めてしまう方もいるでしょう。私立医学部の学費相場や、どんな家庭環境の学生が多いのか、実情を解説します。
私立医学部の学費平均は約3,200万円
私立大学の文系や理系の学費は、4年間で400万円~500万円ほどですが、私立医学部の6年間の学費は、平均で約3,200万円です。最も学費の安い国際医療福祉大学でも6年間で1,850万円。最も学費の高い川崎医科大学は、6年間で4,740万円です。同じ私立医学部でも、2,890万円もの差があります。
地方など遠方地域の受験で、入学後に一人暮らしをする場合はさらに費用がかかります。
日本人の生涯賃金の平均値は、大学卒で2億円から3億7千万円とのこと※。一般的なサラリーマンの生涯賃金から見れば、私立医学部の学費は、かなり大きな負担と言えます。
※厚生労働省所管の独立行政法人「労働政策研究・研修機構」による「生涯賃金など生涯に関する指標」
私立医学部生の世帯の過半数が年収1,000万円以上
2024年8月に開催された「第56回 日本医学教育学会学術大会」において、岐阜大学名誉教授の鈴木康之氏が以下の調査結果を公表しました。
- 医学生の社会経済的背景は一般国民と大きく異なる
- 医学生の過半数が年収1,000万円以上の家庭出身者である
- 医学生の親は高学歴である
- 医学生は恵まれた家庭環境にある
- 私立医学部生の親が医師である割合は約50%
医学部生の親の世帯年収、「1000万円以上」が過半数https://t.co/vk5huaL9sj
親が医師である割合は33.2%で、私立医学部生に限ると約50%。また、地方での勤務希望者は絶対数が少なく、人材の偏りが浮き彫りになりました。 pic.twitter.com/rqnOG4yxCr
— 日本経済新聞 電子版(日経電子版) (@nikkei) November 3, 2024
医学部の学生の多くは、平均的な世帯より裕福な家庭環境にあると言えます。
私立医学部の学費が払えないとどうなる?
私立医学部の学費を期日までに支払えなければ、措置退学や除籍処分となります。措置退学とは、学費未納等による退学処分で、除籍処分は、大学の在籍リストから除外される処分です。
学費の未納によってどのような処分を取るかは、大学によって異なります。いずれの場合も、大学によっては復学や復籍が認められるケースもあります。
「私立医学部の学費が払えない」に事前にできる節約対策
学費の支払いに困らないように、私立医学部を目指す際にできる節約対策を見ていきましょう。
高等教育の修学支援新制度を利用する
高等教育の修学支援新制度は、学習意欲のある学生をサポートする、国の制度です。大学や短期大学、専門学校等の授業料や入学金の免除または減額、給付型奨学金の支援をしてもらえます。支援対象となるのは、以下の2つの要件を満たす学生です。
- 世帯収入等の要件を満たしていること
- 進学先での学習意欲があること
支援の金額は世帯収入や進学先の学校の種類などによって異なります。以下のリンクから、世帯収入等の要件チェックや奨学金をシミュレーションできます。
→ 進学資金シミュレーター(独立行政法人 日本学生支援機構)
進学の前年から、高校の窓口を通して申し込み可能です。申し込み先は、日本学生支援機構(JASSO)です。
学費の安い医学部を目指す
私立医学部の学費は特に高額ですが、国公立大学であれば6年間の学費は約350万円。私立医学部の6年間の学費約3,200万円と比較すると、格段に安くなります。偏差値が高く、入試の難易度は上がりますが、金銭的な負担は大幅に減らせます。
私立医学部の学費の安いランキングも参考にしてください。
学費ランキング | 大学名 | 6年間の学費総額 |
---|---|---|
1位 | 国際医療福祉大学 | 18,570,000円 |
2位 | 順天堂大学 | 20,800,000円 |
3位 | 関西医科大学 | 21,000,000円 |
4位 | 慶應義塾大学 | 22,269,600円 |
5位 | 日本医科大学 | 22,297,800円 |
学費不要の医学部を目指す
一般の大学とは異なり、省庁大学校に分類される防衛医科大学校は、全寮制で学費も入学金も不要です。防衛医科大学校の医学科の学生は、防衛省職員(特別国家公務員)として採用されます。学業や訓練が業務であり、学生手当てとして月額131,300円(令和6年1月1日現在)や年2回の期末手当が支給されます。
ただし、卒業後の9年間、自衛隊での勤務が義務付けられています。途中で離職する場合は、勤務期間に応じて経費の償還を求められます。令和6年3月卒業生の償還最高額は4,380万円でした。条件等を含めての検討が必要です。
学費の免除制度がある医学部を目指す
学費免除や資金貸与の制度を設けている大学があります。それぞれに条件はありますが、医学部の学費が払えない可能性がある場合は、チェックしておくと安心です。
例えば自治医科大学には、入学者全員を対象とした修学資金貸与制度があり、以下のとおり条件を満たすと貸与金の返還が免除されます。
この修学資金は、大学を卒業後、直ちに、学校法人が修学生の第1次試験の試験地の属する都道府県知事の意見を聴いて指定する公立病院等に医師として勤務し、その勤務期間が修学資金の貸与を受けた期間の2分の3(1.5倍)に相当する期間(その勤務期間のうち2分の1は、知事が指定するへき地等の指定公立病院等に勤務する。)に達した場合は返還が免除されます。
引用:自治医科大学HP
産業医科大学でも、以下の制度を利用可能です。
学費負担を軽減できる制度をチェックしておくと、医学部進学への可能性が広がります。
私立医学部の学費が払えない時の対処法
私立医学部に入学してから、学費が払えない状況になった場合は、以下の対処法を参考にしてください。
休学する
大学には休学制度があり、講義を休んで働き、お金を貯める方法があります。休学制度とは、大学に籍を置いたまま、長期間の休みを取得できる制度です。休学には申請や5万円~10万円程度の休学費が必要ですが、休学期間中の学費は免除となります。
ただし、私立医学部の学費は高額で、大学生が1~2年の休学で働いても学費確保が難しい可能性もあります。休学中は奨学金が休止される点にも注意が必要です。
奨学金制度を利用する
私立医学部によっては、奨学金制度が設けられています。奨学金制度とは、経済的事情によってお金を必要とする学生を対象に、学費を貸与または付与する制度です。
在籍している大学だけでなく、独立行政法人 日本学生支援機構が提供する国の奨学金制度もあります。学費が払えずに進学を諦める学生をサポートするための制度です。困った時は積極的に利用を検討しましょう。
特待制度を利用する(2025年度の特待生制度)
一部の大学では、特待制度を利用できます。特待制度とは、特に成績優秀な学生を対象に、学費を免除したり減免したりする制度です。2025年度は、以下の大学で特待生制度を設けています。
- 国際医療福祉大学
- 順天堂大学
- 昭和医科大学
- 東京慈恵会医師大学
- 日本大学
- 日本医科大学
- 金沢医科大学
- 関西医科大学
- 兵庫医科大学
- 川崎医科大学
- 久留米大学
- 福岡大学
- 産業医科大学
志望校に特待制度ないか、最新情報を確認してください。
ローンを利用する
医学部の学費が払えない場合の選択肢として、国や銀行等の金融機関が提供する教育ローンが挙げられます。国の教育ローンの審査が通れば、以下の条件で借り入れが可能です(2024年11月1日現在)。
借り入れ上限 |
|
---|---|
金利 | 2.35% (固定金利・保証料別) |
返済期間 | 18年以内 |
参照:日本政策金融公庫HP
医学部は6年間ですので、国の教育ローンの借り入れ上限額は450万円です。
教育ローン以外にも、カードローン等、用途を制限しない借り入れ手段もあります。
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私立医学部の学費の悩みを解消しよう
私大の医学部は、最も安い大学でも国立大学の5倍以上の学費がかかります。一般的なサラリーマン世帯では、費用負担が重いのが現状です。
しかし、事前にできる対策も、学費が払えなくなってからの対処法もあります。ここで紹介した費用を抑える方法をチェックして学費の目処を付け、最適な志望校を選択してください。
留年して学費が払えない場合は、以下の記事を参考にしてください。