救急車を呼ぶときって、費用を請求されるんですか?体調が悪いけれどお金があまりなくて、支払うことができるか心配です…。
救急車は基本的に無料ですが、場合によっては費用を請求されるケースもあります。救急車の費用に関する疑問を一緒に解消しましょう。
救急車の費用は請求あり?
救急車を呼んだら費用を請求されるのではないかと不安な人も多いはず。
救急車が出動した場合、費用を請求される可能性はあるのでしょうか?
救急車は無料
急病で救急車を呼んでも、日本では原則として、費用を請求されることはありません。救急車代無料は、法律で定められているため、全国共通で覆されることはありえないのです。
救急車を呼んだ場合に請求されるお金は、以下のとおり。
- 治療費
- 医療費
救急車出動に必要なガソリン代や人件費は税金から支払われるため、患者が負担する必要はありません。
現場で処置をしてもらった際の医療費を無料にすることは不可能なので、その点はご注意ください。
緊急性なしと判断されると請求されることがある
コロナ禍で病床がひっ迫して以降増加しているケースとして、緊急性がないのに救急車を呼ぶ事例が挙げられます。
救急車で搬送された場合に医療費が無料になるのは、緊急性が高い場合のみ。
例えば軽傷で搬送を要請した場合は、特定医療費が加算されます。特定医療費とは、初診の患者に対して医療機関の医師の紹介状がない場合に発生する、国が決めた医療費です。特定医療費は病院によって異なりますので、高額の特定医療費を請求されるケースも。
本来、救急車は自分では対応できない大きな病気や緊急性のある症状が出ている場合にのみ、利用するものです。救急車を呼ぶ際には、本当に緊急性があるのか、冷静に判断しましょう。
ドクターカーでの治療は有料だが搬送費は無料
救急車とは別に、ドクターカーで治療を行う場合もあるでしょう。
救急車では救急救命士が応急処置を行いますが、ドクターカーでは医師や看護師が治療します。
ドクターカーで治療した場合は医療費が発生するため、料金を支払う必要があります。
ただし、ドクターカーで緊急搬送された場合でも、健康保険証で治療費を一部保証することは可能なので、臨機応変に対応しましょう。
帰宅する際の交通費は自分で負担することになるので、その点は注意が必要です。
救急車を呼んだときに発生する費用
救急車を呼ぶと、以下のような費用が発生する場合があります。
- 治療費・医療費
- 休日・夜間・早朝の時間外加算
- 帰りの交通費
救急車を呼んだ際に発生する費用について、詳しく見ていきましょう。
治療費・医療費
救急車で搬送された場合、人件費やガソリン代は税金で賄われますが、治療費や医療費は通常どおり発生します。場合によっては、薬代が発生することも。
健康保険証を使えば一部を保障することも可能なので、救急車を呼ぶ際も保険証は忘れずに用意しましょう。
休日・夜間・早朝の時間外加算
深夜や早朝に病気の症状に見舞われて、救急車を呼ぶケースもありますよね。
休日や夜間・早朝に救急車で搬送された場合は、時間外医療費が加算されます。
時間外にどうしても救急車を利用したい場合は、時間外医療費が発生することを念頭に置きましょう。
帰りの交通費
病院から帰る際は自力で帰宅するため、交通費が発生することをお忘れなく。
救急車で搬送されても入院する必要がないと判断されれば、帰宅しなくてはいけません。入院の必要性がなくても体調が悪い場合は、タクシーを利用するケースもあるでしょう。
思った以上に高額になる場合もあるので、帰宅のための交通費も事前に備えておきましょう。
救急車1回の費用はいくら?どこから出ている?
救急車の出動費用は、利用者が支払う必要はありません。
しかし、1回の出動でどれくらいのコストがかかっているのか、気になる人もいるでしょう。
救急車が1回出動するとコストはどれくらい?
救急車が1回出動すると、予想以上に高額なコストが発生します。
項目 | 金額 |
---|---|
救急出動1回あたりのコスト | 約45,000円 |
救急業務の年間支出 | 約285億5200万円 |
救急出動件数 | 619万 6,069件 |
搬送人員 | 549万 3,658人 |
参考:日本の民間救急情報
参考:令和4年版 救急・救助の現況
民間救急情報によると、救急車1回あたりの出動で、約45,000円ものコストが発生しています。出動件数は619万件を超えており、救急業務の年間支出は285億に。
年間で549万人もの人が救急車で搬送されていることも、データから分かります。
救急車が1回出動する際のコストは予想以上に高く、毎年かなりの人数が救急車を利用していることを念頭に置きましょう。
救急車の費用は税金から
救急車が1回出動すると約45,000円もの費用が発生しますが、これらは全て税金で賄われています。
救急業務には多額の経費がかかっていますが、国民が税金を支払わなければ、それらの費用を負担することができません。
緊急性がある場合、一刻も早く病院で治療を受けたい人や、命に関わる症状が表れているケースが多いです。
納税の義務がどれほど大事なものか、痛感しますね。
救急車が有料化?いつから?
緊急性があれば、無料で利用できる救急車。
患者にとっては有難い制度ですが、現在救急車を有料化する案が議論されています。
医師を対象としたアンケートでは、過半数が有料化すべきと回答。
いつから有料化するかは、2024年12月現在まだ未定ですが、近い将来救急車が有料化する可能性は充分考えられます。
救急車が有料化されれば、重症でも高いコストを支払うデメリットが発生。できれば冷静に判断して、不要な際には救急車を呼ばない選択をしたいですね。
救急車の費用はアメリカなどの外国ではどれくらい?
世界的に見ると、多くの国では日本と同様に救急車は無料で利用できますが、中にはアメリカを始め、既に救急車が有料化している国もあります。
救急車で費用徴収を適用しているのは、以下の4ヶ国。
- ニューヨーク
- ミュンヘン
- パリ
- シンガポール
各国の料金の種類や価格は、以下のとおりです。
国名 | 料金形態 |
---|---|
ニューヨーク |
【民間医療機関による搬送の場合】 |
ミュンヘン |
|
パリ |
|
シンガポール |
|
海外旅行や海外移住を視野に入れている人は、海外の救急車費用事情を頭の隅に入れておきましょう。
救急車を呼ぶかどうか迷ったときの相談先
家族や自分が傷病に見舞われても、救急車利用が必要なのか、判断しかねるケースもあるでしょう。子供や高齢者が症状で苦しんでいる場合、なるべく早く処置したいですよね。
救急車を呼ぶか迷った際に便利な相談先を紹介します。
全国版救急受診アプリ「Q助(きゅーすけ)」
Q助を利用すれば、緊急度の目安が判断できるため、救急車を呼ぶ必要があるかすぐ把握できます。
画面情報で該当する症状を選択すると、患者の緊急性がすぐに分かります。
緊急性を把握してからアプリを通して119番に連絡できるため、救急車が到着するまでに、余裕を持って準備することが可能。
緊急性が低い場合でも、おすすめの医療機関や交通手段を提供してくれます。
病気や怪我は、誰でも急に訪れるもの。いざというときに備えて、Q助をスマホにインストールしましょう。
救急安心センター事業「#7119」
緊急性を判断してくれる電話窓口、救急安心センター事業「#7119」も便利です。
救急車を呼ぶべきか病院に行くべきか判断しかねた場合、救急安心センター事業に電話すれば、すぐに緊急性を把握可能。救急車要請の必要があれば、すぐに119番に転送してくれます。
救急車を呼ぶ必要がなくても、診察に対応している医療機関の連絡先も教えてくれますし、利便性の高い窓口です。
一部の地域では#7119に対応していないので、お住まいの地域の情報を事前に確認しましょう。
小児救急電話相談事業「#8000」
子供が苦しそうにしている場合や、けがをしてしまった場合、対応に悩む人も多いのではないでしょうか。
子供の傷病の緊急性や受診可否を判断するには、小児緊急電話相談事業「#8000」の利用を検討してください。
全国共通の電話番号なので、どこにいても安心して子供を守ることができます。
救急車の費用は無料だが有料化が検討されている
救急車は、原則無料ですが、現在有料化が検討されています。
病気やけがで苦しんでいる場合でも、なるべく冷静に対処したいものですね。
救急車を呼ぶか迷った際には、今回紹介した窓口に連絡してください。緊急性の可否が分かれば、不要な出動回数の減少につながります。
救急車が出動すると多くのコストが発生していることを念頭に置き、慎重に利用しましょう。