友達の奥さんが早産になりそうで入院してしまったんです。入院費が払えないって悩んでいるみたいで。どうしたらいいんでしょうか?
切迫早産でしょうか、心配ですね!切迫早産での入院費などは保険適用になりますし、医療費が高額になった場合は高額療養費制度っていうのがありますよ!
こちらのページでは、切迫早産で入院費が払えない場合に利用できる公的な制度等を詳しくわかりやすく解説します。
お金の不安を解消して、出産まで安静に過ごせるように、健康保険等の制度をしっかり把握しておきましょう。
切迫早産で入院費が払えない!と慌てる前に知っておきたいこと
正常分娩は保険適用外ですが、切迫早産の場合は保険が適用されます。
とはいえ、切迫早産となると、状況によっては数ヶ月入院となったり、手術が必要になったりするケースもあり、入院費や医療費が払えないなど不安になることもあるでしょう。
そんなときには、以下のような制度が利用できます。
被用者保険 | 国民健康保険 | |
---|---|---|
高額療養費 | ◯ | ◯ |
限度額適用認定証 | ◯ | ◯ |
高額医療費貸付制度 | ◯ | ◯ |
出産育児一時金 | ◯ | ◯ |
出産手当金 | ◯ | ✕ |
被用者保険の場合は「健康保険組合」や「協会けんぽ」に、国民健康保険の場合は自治体の窓口にて、それぞれ手続き等を行います。
各制度について、詳しく見ていきましょう。
高額療養費制度
切迫早産で入院費が払えない!といったときに、まず知っておきたいのが「高額療養費制度」です。
高額療養費制度は、年齢や所得に応じて定められている、保険の自己負担上限を超えた場合に差額分を支給してもらえる制度です。
保険の自己負担限度額は、70歳未満か、70歳以上かによって変わってきますが、ここでは70歳未満の限度額を見てみましょう。
年収 | 1ヶ月あたりの自己負担上限額 | 多数該当の場合の事項負担上限額 |
---|---|---|
(健保)標準報酬月額83万円以上 (国保)旧ただし書き所得901万円超 |
252,600+(医療費-842,000)×1% | 140,100円 |
(健保)標準報酬月額53万円~79万円 (国保)旧ただし書き所得600万円~901万円 |
167,400+(医療費-558,000)×1% | 93,000円 |
(健保)標準報酬月額28万円~50万円 (国保)旧ただし書き所得210万円~600万円 |
80,100+(医療費-267,000)×1% | 44,400円 |
(健保)標準報酬月額26万円以下 (国保)旧ただし書き所得210万円以下 |
57600 | 44,400円 |
住民税非課税 | 35,400円 | 24,600円 |
参照:厚生労働省資料
このように、1ヶ月あたりの自己負担上限額が定められていて、この金額を超える負担が発生した場合に、差額の支給を申請できるのです。
多数該当というのは、1年間で高額療養費の支給を3回以上受けたケースで、4回目から表の記載とおりさらに負担が軽減されます。
この制度の対象となるのは、あくまでも保険適用となる部分のみであり、差額ベッド代や食事の負担額については対象外となりますのでご注意を。
高額療養費制度を利用する場合は、一旦医療機関に医療費を支払い、その後に申請して上限を超えて支払った分について申請をする仕組みで、支給してもらえるまでには、最低でも3ヶ月かかります。
3ヶ月後に支給されるのはわかっていても、一旦全額を立て替えて払わなければならないので、ここで困る方もいるでしょう。
3ヶ月もかかるんですか?結構長いですね!
病院の処理やその後の審査等を経由するので、どうしても時間がかかってしまうんです。ただ、その期間をカバーするための制度もちゃんと用意されていますよ!
入院前に医療費や入院費が高額になるとわかっている場合は、次に紹介する「限度額提供認定証」を事前に申請すること対応可能です。
限度額適用認定証
限度額適用認定証を提出することで、医療機関の窓口で支払う金額が自己負担限度額までとなります。
高額療養費制度を利用すると、一旦全額を負担しなければなりませんが、その必要がなくなるのです。
この制度を利用すれば、あとは医療機関のほうで手続きをしてくれます!このほかにも、高額医療費貸付制度があります!
高額医療費貸付制度
高額医療費貸付制度とは、高額療養費制度で支給されるまでの期間、無利子でお金を借りられる制度です。
高額医療費貸付制度で借りられるのは、高額療養費支給見込額の8割ほど。これは、加入している保険によって異なります。
無利子で借りて、高額療養費制度で支給されるお金で返済できるなら安心ですね!
保険の自己負担はありますが、高額な医療費を全部負担しなくていいのは助かりますよね!無事出産したら、出産育児一時金の支給もありますよ!
出産育児一時金
出産育児一時金は、2022年時点では1児出産ごとに42万円の支給となります。
双子ちゃんの出産なら42万円の2人分ですから84万円の支給です!
これは、健康保険加入でも国民健康保険加入でも同じです。
この出産育児一時金の支払いでは、被保険者自身が受け取る以外にも、以下の2つの方法があります。
- 直接支払い制度(医療機関に直接出産育児一時金を医療費として支払う制度)
- 受取代理制度(受取代理制度を利用できる医療機関が被保険者の代わりに出産育児一時金を受け取る制度)
出産手当金
出産手当金は健康保険の被保険者のみが受けられる制度で、国民健康保険にはこの制度がありません。
出産手当金とは、出産のために会社を休んでいる期間、会社から賃金をもらえない場合に支給されるものです。
出産手当金は基本的に、出産日以前42日から出産日の翌日以降56日までの範囲内で産休をとり、かつ賃金が支払われなかった期間が支給の対象期間となります。
1日あたりの支給額は、以下の計算式で算出されます。
【支給開始日の以前12ヶ月間の各標準報酬月額を平均した額】(※)÷30日×(2/3)
出産手当金について詳しくは、以下のページをご参照ください。
→ 全国健康保険協会
切迫早産で入院する際の注意ポイント
切迫早産で入院する場合は、安静第一です。
ただし、入院費が高額になることが不安な場合は、差額ベッド代に注意しましょう。
差額ベッド代は、保険適用外であり、高額療養費制度等の対象外。差額ベッド代とは、個室はもちろん、2人部屋~4人部屋でもかかる費用で、一般的には1日あたり数千円から8,000円ほどかかります。
長期入院になると、1日あたりの差額ベッド代の負担はかなり大きくなりますね。
切迫早産で入院費が払えないなどの不安がある場合には、差額ベッド代の負担を抑えることをおすすめします。
高額療養費制度とか貸付制度とか、いろいろサポートもあるんですね!友達に伝えます!
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